【座談会レポート】「育つ、高知のIT人材 ~高知で働く×高知に立地で実現する地域活性化~」
令和6年12月16日、高知県内の学生やIT企業で働く若年者、また、高知にIターンされた方をゲストに、「育つ、高知のIT人材」座談会を開催しました。
本座談会は、IT・コンテンツ企業が高知県に立地する魅力と可能性について、学生や若年者、Iターン者のそれぞれの立場と視点で意見交換をしていただき、高知県の現状や課題の把握、そして課題解決への糸口を探すことを目的として開催しました。
今回は、そんな座談会の様子をお届けします。
<開催概要>
開催日 :令和6年12 月16 日(月)16:00~17:30
開催場所:「Kochi Startup BASE」(高知市はりまや町1丁目2-12)
出演者 :岡﨑さん 株式会社オートクチュール
嶋崎さん 高知工科大学経済・マネジメント学群4年
坂上さん 高知工科大学情報学群4年
藤本さん 高知工科大学経済・マネジメント学群4年
川村さん 龍馬情報ビジネス&フード専門学校
ゲームクリエイター学科1年
高田さん 龍馬情報ビジネス&フード専門学校
ゲームクリエイター学科1年
野崎さん 一般社団法人ハンズオン
遠藤さん 株式会社Time Link Creation(ファシリテーター)
主催者: 高知県商工労働部企業誘致課
座談会は、ファシリテーターである株式会社Time Link Creation遠藤さんの進行のもと始まり、以下の3つのテーマ(視点)に沿って進められました。
①学生の視点
②高知で働く若年者の視点
③Iターン者の視点
テーマ①学生の視点
まずは、テーマ①「学生の視点」として、すでに進路が決まっている高知工科大学の学生3名(嶋崎さん、坂上さん、藤本さん)からは就職活動の体験談を、これから就職活動を控えている高知龍馬学園の学生2名(川村さん、高田さん)からは、今の時点で考える就職への希望や思いなどについて伺いました。
高知工科大学経済・マネジメント学群4年の嶋崎さん。令和7年4月から県内の製造会社への就職が決まっています。自分が生まれ育った高知で働きたいという思いがあり、就職活動中は主に県内企業を探されていたそうです。そのなかで、安定した企業かつ会社の理念に自分が共感できるかという視点で、県内の製造会社への就職を選択されました。
続いて、高知工科大学情報学群4年の坂上さん。坂上さんは愛媛県の出身。将来はゲーム業界に進みたいという思いがあり、高知工科大学へ進学されました。令和7年4月からは、東京のゲーム会社への就職が決まっています。もともとは県外就職を希望していた訳ではないそうですが、“自分が働きたいと思える会社かどうか”という視点で会社を絞っていった結果、働く環境や条件が良かった東京のゲーム会社を選ばれたそうです。
続いて、高知工科大学経済・マネジメント学群4年の藤本さん。令和7年4月から、都市部にあるビジネスマッチング企業への就職が決まっています。就職活動中は、大学で学んだことを生かすことができ、かつ、若いうちに経験を積める会社かどうかという視点で就職先を絞っていったそうです。その結果、大学で学んだ経営やビジネスの知識を生かすことができ、様々な企業とのコミュニケーションを必要とするビジネスマッチングという業界を選択されました。
同じ大学に通う3名は、大学に直接届く求人票をチェックしつつ、大手の求人検索サイトや就活エージェント、スカウト型の就活サイトなどに登録するなど、様々なサービスを併用し、情報収集をされていたそうです。
そのなかで、“学生は企業との交流の場を求めている”ということがありました。就職活動は、「企業が学生を選ぶ場」であると同時に、「学生が企業を選ぶ場」でもあります。両者のミスマッチを防ぐためにも、学生と企業との個別相談会や交流会などの需要が高まっているそうです。サイトやサービスを利用する場合、メリットも多いですが、企業の想いや熱量が学生に伝わりきらないという点があることから、学生と企業がリアルの場で関わることができる機会が求められています。
また、これから就職活動を控えている龍馬情報ビジネス&フード専門学校の川村さんと高田さんからは、県内就職を第一志望として考えているというお話がありました。お二人の周りにも、卒業後は高知に残りたいと考えている方が多いそうです。
しかし、県内の業種や職種の選択肢の少なさから、県外就職を選ばざるを得ない状況になっていると言います。もっと、高知にいろいろな業界の企業が進出し、高知に住みながら都市部の仕事ができるような会社が増えてほしいという思いを語っていただきました。
高知で働きたい理由を伺うと、高知の“人の近さ”や“温かさ”が好きという地元への想いや、家族の近くにいたいという想いを打ち明けてくれました。
テーマ②高知で働く若年者の視点
続いて、テーマ②「高知で働く若年者の視点」として、県内のIT企業「株式会社オートクチュール」に勤務されている岡﨑さんに、高知で働くことの魅力や可能性、また、課題などについて伺いました。
岡﨑さんは、国際デザイン・ビューティカレッジ(現:龍馬学園デザイン・ビューティ専門学校)でグラフィックデザインやイラストなどを専攻され、卒業後はイラストレーターとして株式会社オートクチュールに入社されました。入社3年目になる現在は、ディレクターとして活動され、会社の採用活動なども担当されています。
高知の魅力は「人柄」と「自然」と話す岡﨑さん。高知の人はみんな温かく、自分だけでは解決できないことがあったとしても、必ず手を差し伸べてくれると言います。
また、自然に囲まれてリフレッシュしながら働くことができる点も魅力で、特にITという場所を問わない業界であれば、仕事の拠点として最適な環境が整っているとお話されました。
一方、課題として、県内にIT企業が少ない点や高知に進出された企業との接点が少ない点などを挙げられました。さらに、会社の採用活動を行うようになり、県内企業の情報が学生に届いていないと感じることが増えたと言います。県内にどのような企業があるのか知らないまま県外に流れてしまう学生が多いことから、今後は、学生向けの就職フェアや相談会などの機会を増やしていきたいとお話されました。
ITという業界や職種について、まず存在を知らないという学生が県内には多いと思うので、これからは自分がそこを示していく必要があると抱負も語っていただきました。
また、これから就職活動を控えている龍馬情報ビジネス&フード専門学校の川村さんと高田さんに対しては、“就職活動は自分から門をたたく姿勢が大事”というお話もされました。
専門学校で学んだOGとしてアドバイスを送られている姿はとても印象的でした。
テーマ③「Iターン者の視点」
最後に、テーマ③「Iターン者の視点」として、高知に移住された野崎さんに、高知で働くことの魅力や可能性、また、課題などについて伺いました。
野崎さんは2013年に高知に移住され、現在は高知市の私立中学・高等学校で教員として働きながら、一般社団法人ハンズオンの代表理事として、今回の座談会の会場である「Kochi Startup BASE」の運営をされています。
「Kochi Startup BASE」は、高知県初の共創型スタートアップ支援施設です。スタートアップ支援のほか、学生から社会人まで使えるコ・ワーキングスペースやシェアオフィス、レンタルスペースの運営も行なっており、年齢や立場など、バックグラウンドが様々な人たちが利用しています。
野崎さんは、高知に移住して驚いたことの一つに“人と繋がるスピードの速さ”があるとお話されました。この人に会いたいと思ったら、知人の紹介や直接のアクションですぐに会うことができるのが高知の魅力。移住前の関東で働いていた頃は、同じ業界や年代の人と繋がることが多かったそうですが、高知に移住されてからは、会社の社長や興味深い活動をしている人、はたまた政治家など、役職や立場に限らず他業種の様々な人と出会い、気さくに話すことができる点が高知の良さだとお話されました。
さらに、「Kochi Startup BASE」が、学生や県内企業、高知に進出された企業などが繋がるきっかけになってほしいという熱い思いも語っていただきました。
今回の座談会では、普段は接点のない「県内の学生」「高知のIT企業で働く若年者」「Iターン者」の3者が持つニーズや思いについて意見交換を行うことで、それぞれに新たな気づきや発見がある会となりました。高知県では、今後もこのような機会を増やしていきたいと考えています。
「高知県IT・コンテンツ企業進出サポート公式note」では、高知県が取り組む企業誘致の情報や進出企業で就業している方のインタビュー記事なども発信していますので、ぜひそちらもご覧ください。