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時代を創るクリエイティブに高知から挑戦する【株式会社OUTER】

2023年1月に高知県香美市で設立された株式会社OUTER(アウター)。親会社で、東京を拠点に各種イベントや企業ブランドのプロデュースなどを行う、株式会社TAMARIBAのクリエイティブカンパニーとして誕生しました。

代表取締役の竹内洋平さんに、株式会社OUTERが高知で誕生するきっかけなどのお話を伺いました。


フリーランスとしての活動が、現在に繋がる

竹内さん:県内の専門学校を卒業後は高知の企業に就職し、デザイナーとして仕事をしていました。元々音楽が好きだったことから、会社員をしながら音楽イベントを主催する生活を送っていました。
そのほかにも、当時海外から火がつき始めていたeスポーツを日本でも広めようと、eスポーツイベントを大阪で開催するなど、徐々に本業以外の活動が増えていったことから、会社員を辞めてフリーランスとしてエンタメコンテンツに関わるディレクターとして活動を始めたのが現・親会社TAMARIBAとの出会いのきっかけです。
高知と都市部の時差を埋めクリエイティブと雇用を生み出すことを目的としており、TAMARIBAの子会社として、2023年の株式会社OUTER設立へと繋がりました。
「EMPOWER KOCHI WITH ENTERTAINMENT」を企業のスローガンに掲げています。

最先端を創るスタッフと高知から新しいクリエイティブを

東京・大阪など都市部と高知を行き来し活動する中で、竹内さんには、新会社設立を高知県にこだわる理由がありました。

竹内さん:「都会と比較して、地方の方がいろいろな余白がある」
弊社の会長が高知に訪れた際に、ふと話した言葉です。
都会では埋もれてしまう小さなアクションでも、地方ではインパクト(波及効果)が大きい。高齢化や過疎化などが進む中で、高知県はある意味フロンティアであって、ここでクリエイティブに挑戦することが大切だと思いました。

事務所の場所を高知県内に定め、探している中で見つけたのが香美市の物件でした。

竹内さん:やるからには、インパクトが大きくなければならない。そのために世界の最先端を創っているアーティストに来てもらおうというのが最初の狙いでした。そのためには、彼らが興味を持つ「箱」が必要です。その箱を探している中で見つけたのが、香美市の山田高校に隣接する元美容院の物件でした。これは改装次第で、3面プロジェクションマッピングができ、音楽イベントもできるのでは?という期待が膨らむ物件でした。
幸い、企業誘致に関する補助金が高知県だけでなく香美市にもあり、その両方を活用させていただくことができました。

<参考>
高知県IT・コンテンツ企業立地促進事業費補助金https://www.pref.kochi.lg.jp/doc/2020092000045/
香美市サテライトオフィス等設置促進事業費補助金
https://www.city.kami.lg.jp/soshiki/26-1/kigyouyuuchi.html

こうした竹内さんの事前準備もあって、OUTER設立の際には全世界で絶大な人気を誇るアメリカ人ラッパーYe(Kanye West)の楽曲プロデュースを担当したSINJIN HAWKE & ZORA JONESというアーティストが加わり、より先鋭的なクリエイティブを創作する体制が整いました。
 
竹内さん:初年度は、自由に動き回るアーティストを部下に持ち、マネジメント能力が問われる一年でした。元々フリーランスで仕事をしていた時は、どちらかといえばプレイヤー気質でしたが、代表取締役となるとそうはいきません。1年目はマネジメントに徹し、2年目以降は新卒採用した社員の教育や成長を促す関わりなどを意識してきました。3期目は、社員の若い感性を共有してもらい、私からはこれまで培ってきた知識や人脈を伝えていくという双方向のやりとりを意識していければと思っています。
 
創業から間もないにも関わらず、社員の成長が目覚ましいOUTER。2024年に新卒採用した社員である伊藤瑞樹さんは、第108回二科展デザイン部で大賞を受賞するなど、早速頭角を表しています。そのほかのスタッフも、AIに秀でたものなどそれぞれの得意分野を活かした、チーム強化を図っています。

個性ある人材を採用し、クリエイターとして育てる

高知に企業進出する際に、不安に感じることの一つとしていい人材が集まるのかということがあるかと思います。OUTERは、音楽イベントや求人サイトなども活用しながら独自の採用方法で人材を集めています。
新卒採用は、高知工科大学や龍馬デザイン・ビューティ専門学校などの学生を計画的に雇用している一方、中途採用ではイベントなどで出会って、「どんな音楽聴いてるの?」といった他愛もない会話から採用に至った人もいたのだそうです。
 
竹内さん:レコードをディグる(dig・掘る=発掘する、発見するの意)感覚で、どこか変わっている人や服装などに個性が出ている人、何かやりたいがそのパッションをどこにぶつけていいか分からない人、もしくは明確にやりたいことがある人など、何かが引っかかる人に興味がありますね。例えコミュニケーションが苦手でもクリエイティブでアウトプットしてくれれば、それでいいと思っています。
 
竹内さんは、社員は責任感のある人ばかりと評価しています。
OUTERはクリエイティブチームです。それは個人戦ではなく、団体戦。みんなで成果を作っていくということです。個性が強いメンバーでも、方向性さえ大きく違っていなければ、一緒に山頂を目指して登っていけるのだそうです。
こうした竹内さんの思いは、会社の福利厚生にも大きく反映されています。
 
竹内さん:現在の新卒メンバーは香美市に社宅があり、一部、電気代・水道代・インターネット通信料などは会社が負担しています。そのほか、昼食や夕食も一緒に食べることが多く、個人で負担することはあまりないかと思います。生活インフラは整っているので、十分に生活していけます。ここで実力をつけて、独立や転職を目指すも良し、一緒に働き続けてもらうも良しという感じです。独立を目指す場合には、ポートフォリオはすべて掲載してもらっていいですし、必要とあれば請求書の作り方だって教えます。かつて漫画家を多く輩出した「トキワ荘」のクリエイター版が理想です。11月には社員全員のリソースを集約した音楽フェスを高知で開催しました。
 
「つくることに夢中になりましょう。」竹内さんは、社員に対してそんなメッセージを送ることがあるそうです。
高知で行うのは誰かに指示された作業ではなく、あくまでクリエイティブ。誰も見たことのないクリエイティブをゼロからイチに創造するために、常識や前例に捉われない会社づくりが行われます。

まとめ

今回は、株式会社OUTERの代表取締役・竹内さんにお話を伺いました。
クリエイティブにかける熱い想い。そして、チームとして成長していくことへの喜びを感じるインタビューでした。今後、高知からどんなことを仕掛けていくのか。OUTERのこれからに注目です。